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【式神とは】陰陽師が使役する式神や紙の種類を徹底解説【永久保存】

こんにちは、管理人の凛です。

皆さんの中には、アニメやゲーム、さらには映画といったフィクションの中で、陰陽師が使役する「式神」が出てくる場面を見た事がある人もいるかもしれません。

創作物の中では、式神というキャラクター設定の為、何も疑わずに見入ってしまいますが、実際に式神とは一体何なのか、どんな事が出来るのか、よく分からないという人も少なくないでしょう。

今回は、陰陽師がどのように式神を生み出したのか、また式神にはどのような種類があるのか等を紹介していきます。

目次

式神は擬人式神・思業式神・悪行罰示神の3つに分けられる

式神とは、陰陽師が自在に操れる鬼神の事で、人の悪行や善行を見定める事が出来ると言われています。この式神は、創造過程の分類で「擬人式神」「思業式神」「悪行罰示神」の3つに分けられます。

最もポピュラーな擬人式神は和紙で生み出されていた

擬人式神は、紙で人形を作り、そこに陰陽師が霊力を込めた式神です。映画やアニメに登場する陰陽師が、人型や鳥形の式神を、呪術を唱える事で人間や鬼神へと姿を変えて戦う…なんてシーンを見た事がある人も多いでしょう。

擬人式神は形代(かたしろ)とも言います。また、意思を持たせたものは上位式神、持たせなかったものは下位式神と呼ばれます。

擬人式神を生み出す際には、主に和紙が用いられていました。一言で和紙といってもその種類は豊富ですが、陰陽師が活躍した奈良・平安時代には、楮紙(こうぞがみ)と言われる楮を原材料とした紙が丈夫で多用されていたといいます。その為、陰陽師が擬人式神を創造する際には、楮紙を使っていたのではないかと考えられています。

擬人式神は必ずしも紙でなくても良い

映画やアニメといったフィクションの影響で、擬人式神と言えば、人形に切った紙を用いると思われがちです。ですが、擬人式神を生み出すには、必ずしも紙を用いないといけないというわけではありません。藁や草木といった紙以外のものであっても、陰陽師が霊力を込めれば、擬人式神が生み出せます。

また、擬人式神の形も様々です。現代であれば、車や家、バイクの形を模した形代を用いてお清めを行う寺院もあります。この儀式は陰陽師のように式神を創造するわけではありませんが、形代に思いを込めるという点は、当時と変わらず現代にも受け継がれています。

陰陽師の念から生まれる思業式神

思業式神は、陰陽師が深く思い念ずる事で創造される式神です。陰陽師の能力がそのまま現れる式神の為、見た目や強さも陰陽師次第です。

この式神は上位式神とされており、自らが意思を持って主の陰陽師を助けるのが目的です。その為、情報収集を始めとした、陰陽師のサポートを行う事があります。

悪行を行った霊を倒して従える悪行罰示神

悪行罰示神は、過去に悪い事をした霊的な存在を陰陽師が倒し、服従させた式神です。過去に悪行を行っていただけあって霊的な力が強く、陰陽師の能力が弱いと逆に飲み込まれてしまいます。

陰陽師として名高い安倍晴明は、恐ろしい力を持った霊をいくつも従えていたと言われています。

有名な式神の特徴

ここからは、伝説となっている有名な式神の呼び名や、特徴をお伝えしていきます。

役小角に仕えた夫婦の式神 前鬼・後鬼

まずは、前鬼(ぜんき)・後鬼(ごき)という式神をご紹介します。この式神はなんと夫婦で、前鬼が夫、後鬼が妻なのです。

夫の前鬼(善童鬼・妙童童とも称する)は鉄斧を持つ赤鬼で、妻の後鬼は霊力のある理水が入った水瓶を持つ青鬼であると言われています。

元々は夫婦で人々に災いをもたらす存在でしたが、修験道の開祖とされる僧侶の役小角(えんのおづの)と出会った事で改心し、役小角に従うようになりました。

役小角は、この夫婦の末の子を鉄釜に隠して脅すという少々手荒な方法で、鬼の中にある親心に訴えて改心させたそうです。それまで人間の子を連れ去っては殺めていた鬼の夫婦ですが、自分の子供がいなくなったときの悲しみや絶望感を味わい、今までの悪行を後悔したようです。

現代でも役小角の彫像や絵画には、役小角が亡くなるまでずっと側に仕えていたといわれる前鬼・後鬼が一緒に表されている事が多いので、美術館や博物館等に行かれた際には探してみると面白いかもしれません。

犬の霊が憑いた式神 犬神

犬神は、その名の通り犬の霊が憑いた式神です。犬神の始まりは、とても残酷で恐ろしい日本の歴史にあります。

犬の首から下を土に埋めて動けないようにしたり、支柱に繋いだりし、見えるのに届かない場所に餌を置き、餓死する直前まで放置したそうです。そして、もう後少しで餓死するという時にその犬の首を切ると、犬の頭部が餌まで飛んで食らいつき、その頭部を焼いて骨を祀る事で、永久にその人に憑き、願い事を叶え、家を繁栄させてくれるといわれていました。

しかし、犬神はとても攻撃性が強い式神で、従順ではなかった為、犬神持ちの家族を嚙み殺したり、憑いた人を祟り殺す事もあるといわれています。犬神に一度取り憑かれると、かなりの大食いになったり、嫉妬深くなったり、情緒不安定になって吠えたり、人に噛み付いたりするようになるそうです。

アニメ等に出てくる犬神は凛々しい姿をしていますが、歴史に伝わる犬神の容姿はハツカネズミやジネズミ、イタチに似ており、大きめのネズミのような姿。モグラの一種で目が見えず、一列になって行動するといわれています。

安倍晴明が使役していた非常に強力な式神 十二神将(十二天将)

十二神将は安倍晴明が使役していた、とてつもなく強い力を持つ12の霊です。

十二神将は、陰陽道のもと、陰陽師にとって必須の「六壬神課」という占術で使用する十二支の現れです。十二神将には、それぞれ呼び方や方角が決まっています。有名な式神もいるので、名前を聞いた事がある人もいるでしょう。

  • 騰蛇(とうだ)  巳
  • 朱雀(すざく)  午
  • 六合(りくごう) 卯
  • 勾陳(こうちん) 辰
  • 青龍(せいりゅう)寅
  • 貴人(きじん)  丑
  • 天后(てんこう) 亥
  • 大陰(だいおん) 酉
  • 玄武(げんぶ)  子
  • 大裳(たいも)  未
  • 白虎(びゃっこ) 申
  • 天空(てんくう) 戌

以上が十二神将です。炎に包まれた朱雀や大きな白い虎の白虎、蛇や亀に似た姿の玄武はとても有名なので、その姿が頭に浮かぶ人もいるかもしれません。

この十二神将は、式神の中で最強といわれているほどの強さを持ち、陰陽師の中で最強といわれている安倍晴明に仕える事でより強さを発揮していたとされます。

安倍晴明は、呪術を使う際にこの十二神将を式神として使役していました。十二神将は、6人ずつ吉将と凶将に分かれていますが、それぞれの役割を持って善行と悪行を見分ける事が出来ます。

元々天文道を学ぶ天文得業生だった為、安倍晴明は天文博士としても占いの才能をかなり認められており、陰陽道について誰よりも詳しく卓越していました。十二神将は北極星を中心とする星や星座を起源としていますから、天文道を深く理解する安倍晴明は、12人の最強の式神を使役するにふさわしい陰陽師だったのでしょう。

式神の正しい使い方

とても強靭な力をもつ式神は、使い方を誤ると人を傷つけたり、人の悪を助長したり、はたまた使役した陰陽師自身を滅ぼす事になりかねません。ここからは、陰陽師たちが実際にどのように式神を使役して人を助け、物の怪や鬼を退治していたのかを見ていきましょう。

呪物を地面に埋めて相手をおびき寄せ憑依させる

陰陽師は、式神を特定の対象に憑依させ、呪い殺す事が出来ます。陰陽師である安倍晴明が、葉っぱに式神を憑依させて蛙を呪い殺したという話も知られています。

憑依させて敵を呪い殺すには、陰陽師が呪いをかけた呪物を地面に埋めて、呪い殺したい相手をその場におびき寄せる事が必要です。

ただ、呪いをかけた陰陽師よりも強い陰陽師が敵であった場合、返り討ちにあい、呪いをかけた陰陽師自身が呪い殺されてしまう事があります。その為、式神を憑依させて呪い殺すという手段は簡単ではなく、自らの命をかけて戦う事を考えると、陰陽師の最終手段だったと言えます。

守りたい場所に式神を置いて守護神とする

守りたい場所に式神を置き、守護神の役目を果たしてもらう事も出来ます。

現代でも神社等でお祓いしてもらったお札等をお守り代わりに家に貼っている人もいると思いますが、同じ要領で、陰陽師が術をかけた式札や人形を守りたい場所に置く事で、式神に守ってもらえるといわれています。

残酷な方法で殺されて式神とされた犬神も、同じように骨を祀る事でその家を守るといわれていました。そういった式札や人形は、陰陽師の術によって姿形を変え、それぞれの得意な能力で守護神として活躍していったのです。

式神に術をかけて人間の姿に変え自分の用事を手伝わせる

少し言い方は悪いですが、式神を小間使いとして使っていた陰陽師もいるようです。陰陽師はとても忙しい存在で、様々な用事をこなさなければいけません。そこで、自分の意のままに操れる式神を自分のお手伝いさんとして使っていたといわれています。

式神に術をかけて人間の姿に変え、ちょっとした日々の家事や身の回りの世話をさせたり、伝言を届けさせたり、敵の偵察をさせたりしていたようです。

式神は陰陽師にとって、意のままに操れる分身のようなものですから、何かの用事を言いつけるにはとても都合が良いうえに、信用出来る存在だったのでしょう。

ただし、式神を呼び出したからといって、必ず使役出来るわけではありません。式神は、修行をして、しっかりと知識を養い、善い心の持ち主が正しく使ってこそ、人を助け守ってくれる心強い味方になってくれます。

まとめ

陰陽師が使役する式神について色々とご紹介してきましたが、まだまだ陰陽師や式神にまつわる歴史が世の中には数多く存在します。陰陽師や式神を知るにはゲームや映画以外にも、多くの書物や絵画が残されています。色々な場所に足を運び、陰陽師や式神の伝記に触れてみたり、歴史を辿ってみたりすると、もっと深い面白い話も見つけられるかもしれません。

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