神様の名前一覧【日本編】
こんにちは、管理人の凛です。
お祈りやおまじないといった不思議な力について考えるためのきっかけとして、神様について知ることは大変有効です。
八百万の神がいると言われるように、非常に多くの神様が存在する日本。今回は日本の神様について、神話の流れに沿いつつその代表的な名前の一覧を紹介します。
別天津神
まずは一番初めの神様を紹介します。
旧約聖書の創世記では神が天と地を一週間で創造しますが、日本神話では、初めに天と地があり、次いで3神が誕生しました。それがアメノミナカヌシ、タカミムスヒ、カミムスヒです。
これら3人のことは「造化の三神」と言います。続いて、ウマシアシカビヒコヂ、アメノトコタチが生まれました。この5神を合わせて「別天津神(ことあまつかみ)」と呼びます。
- 天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)
- 高御産巣日神(タカミムスヒノカミ)
- 神産巣日神(カミムスヒノカミ)
- 宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコヂノカミ)
- 天之常立神(アメノトコタチノカミ)
最初の神々であるこの5神は、神話冒頭以降、ほとんど登場しませんが、影響力があるとされている根源的な神様です。これらの神には性別がないとされています。
神世七代
別天津神の次に、まず2神が生まれます。どちらも性別はありません。続いて、男女の番いの5組10神が誕生します。
- 国之常立神(クニノトコタチノカミ)
- 豊雲野神(トヨクモノノカミ)
- 宇比地邇神(ウヒヂニノカミ)・須比智邇神(スヒヂニノカミ)
- 意富斗能地神(オホトノヂノカミ)・大斗乃弁神(オホトノベノカミ)
- 於母陀流神(オモダルノカミ)・阿夜訶志古泥神(アヤカシコネノカミ)
- 伊邪那岐神(イザナギノカミ)・伊邪那美神(イザナミノカミ)
性別のないクニノトコタチ、トヨクモノは1神で一代とカウントし、これら七組十二人の神を総称して「神世七代(かみよのななよ)」と言います。そのリストの最後には、かの有名なイザナギ・イザナミの名前が見られます。この2神が、後述する国産み、神産みの神話において、数々の神を生み出していくことになります。
「神世七代」までがいわゆる「天地開闢(かいびゃく)」の神話で、上に登場した神々がその始神です。
国産みで生まれた神
男神イザナギと女神イザナミは、別天津神らに、混沌としている大地を完成させるように命じられます。そして、日本列島を構成することになる島々を生み出していきます。こうした島々のことも、神話では神と言い習わします。
- 淡道之穂之狭別島(アハヂノホノサワケノシマ)
- 伊予之二名島(イヨノフタナノシマシマ)
- 隠伎之三子島(オキノミツゴノシマ)
- 筑紫島(ツクシノシマ)
- 伊伎島(イキノシマ)
- 津島(ツシマ)
- 佐度島(サドノシマ)
- 大倭豊秋津島(オオヤマトトヨアキツシマ)
イザナギとイザナギはまず、上記8つの島を生成しました。これらを「大八島」といい、日本のことは「大八島国(おおやしまのくに)」と呼ばれます。
上記の島々は現代の日本と照らし合わせれば、上から淡路島、四国、隠岐の島、九州、壱岐の島、対馬、佐渡ヶ島、本州、に対応しています。列島を大部分において構成する8島を生んだあと、二神はさらに6島を生みます。
- 吉備児島(きびのこじま)
- 小豆島(あづきじま)
- 大島(おほしま)
- 女島(ひめじま)
- 知訶島(ちかのしま)
- 両児島(ふたごのしま)
上からそれぞれ現在の、児島半島、小豆島、諏訪大島、姫島、五島列島、男女群島、に当てはまります。神話において、大八島に加えこれらの島々が生み出される過程を「国産み」と言います。
神産みで生まれた神
イザナギとイザナミの活躍はまだまだ終わりません。島を作ったあとはまず、「大事忍男神(オオゴトオシオノカミ)」を生みます。これは「(国産みという)大事を終えた男神」と解釈されます。
それを皮切りに、イザナギとイザナミは、家や自然にまつわる神様をはじめ、非常に多くの神を生み出していきます。
また、二神が生んだ神々たちの間でも各自交合が行われ、さらに多くの神が生まれます。あまりに多くの神が登場してくるため、そのすべての名前を挙げることはできません。ここでは代表的な一部を紹介するにとどめます。
家宅六神
オオゴトオシオノカミに次いで生み出されたのは、「家宅六神」と言われる家屋にまつわる神々です。
- 石土毘古神(イワツチビコノカミ)
- 石巣比売神(イワスヒメノカミ)
- 大戸日別神(オオトヒワケノカミ)
- 天之吹男神(アメノフキオノカミ)
- 大屋毘古神(オオヤビコノカミ)
- 風木津別之忍男神(カザモツワケノオシオノカミ)
自然を象徴する神
神産みでは、海や山、水、火など、自然の事象を象徴するような神も多く生み出されました。
- 大綿津見神(オオワタツミノカミ)
- 速秋津比古神(ハヤアキツヒコノカミ)・速秋津比売(ハヤアキツヒメノカミ)
- 志那都比古神(シナツヒコノカミ)
- 久久能智神(ククノチノカミ)
- 大山津見神(オオヤマツミノカミ)
- 鹿屋野比売神(カヤノヒメノカミ)
- 火之夜藝速男神(ヒノヤギハヤオノカミ)
オオワタツミは海の、ハヤアキツヒコとハヤアキツヒメは港の神であり、それぞれ水にまつわる神様です。
シナツヒコは風、ククノチは木、オオヤマツミは山、カヤノヒメは草、ヒノヤギハヤオノカミは火を代表する神です。
「カグツチ」との別名もあるこの火の神を生んだ際、イザナミは陰部に火傷を負い、それがもとになって彼女は死んでしまいます。怒ったイザナギは、「天之尾羽張(アメノオハバリ)」という剣を以てカグツチを斬り殺します。その際に流れた血や死体からもまた、多くの神が生まれました。
三貴子の誕生
イザナギは、亡きイザナミに再び会おうと、黄泉の国を目指します。
しかしそこで彼は、変わり果てた妻の姿を目にします。イザナギは恐れおののいて逃げ帰り、阿波岐原の水門で身体を洗い流します。この最中にも多くの神々が誕生します。特筆すべきは、禊の最後に生まれた3神でしょう。イザナギ・イザナミと並んで有名な、日本神話上のヒーロー・ヒロインがこうして誕生します。
- 天照大御神(アマテラスオオミカミ)
- 月読命(ツクヨミノミコト)
- 建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)
アマテラスはイザナギの左目から、ツクヨミは右目から、スサノオは鼻から生まれたとされています。イザナギは彼らを、自身の生み出した数々の神の中でも最も貴いと考えました。そのため「三貴子」と呼ばれます。読み方は「みはしらのうずのみこ」、あるいは簡単に「さんきし」と読みます。イザナギによりアマテラスは天界を、ツクヨミは夜の国を、スサノオは海原を統治することを委任されます。
岩戸隠れに集まった神々
海原の支配を命じられたスサノオでしたが、母であるイザナミに会いたいと泣き叫び、天地に甚大な被害を与えます。
スサノオは、アマテラスに今生の別れを告げてから黄泉の国へ行こうと思い、まずは彼女が治める高天原に向かいます。アマテラスは、凶暴な弟が高天原を奪いにきたのではないかと疑ったため、そうした意思がないことをスサノオに誓約させてから、高天原に迎え入れました。
しかし誓いに反してスサノオは、高天原で数々の乱暴を働きます。アマテラスは黙認していましたが、一人の服織女を死に追いやったことをきっかけに自身の甘さを反省し、天の岩戸に引きこもります。
結果、世界は暗闇に包まれ、災厄が続きました。これが有名な岩戸隠れです。世界に再び陽を登らせるために、アマテラスを説得しようと、八百万の神々は天安河原(あまのやすかわら)に集まり、対策を練ります。
- 思金神(オモイカネ)
- 伊斯許理度売命(イシコリドメ)
- 玉祖命(タマノオヤノミコト)
- 天児屋命(アメノコヤネノミコト)
- 布刀玉命(フトダマノミコト)
- 天宇受売命(アメノウズメノミコト)
- 天手力男命(アメノタヂカラオノミコト)
知恵を司る神・オモイカネの提案により、あらゆる策が講じられます。
まず朝を告げる鶏である、長鳴鶏が鳴かされました。金属加工の神・イシコリドメは「八咫の鏡(ヤタノカガミ)」を作り、タマノオヤが「八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)」を作りました。
これらが榊にかけられ、フトダマは占いをし、アメノコヤネが祝詞を挙げます。アメノウズメが楽しそうに舞を踊り、八百万の神々は大いに盛り上がりました。この騒ぎを不思議に思ったアマテラスは、岩戸を少し開け、何事かと尋ねます。
アメノウズメは「あなたより貴い神が現れたから、喜んでいるのだ」と答え、すかさずアメノコヤネとフトダマが八咫の鏡をアマテラスの方へ向けます。
それが鏡に映じた自分の姿であるとは気づかず、はっきり見ようと身を乗り出したアマテラスの手をオモイカネが取り、岩の扉を怪力のタヂカラオがこじ開けることによって、ついに岩戸から引き出すことに成功。神々が協力したことで、高天原は光を取り戻したのです。
国津神たち
問題を起こしたスサノオは高天原から追放されます。神話において世界は、高天原と黄泉の国、そして葦原中国(あしはらのなかつくに)に分けられます。
高天原は、雲の上にあるとされる神々たちの住まう場所で、黄泉の場所については諸説ありますが、いずれにしても地上の国ではありません。葦原中国とは、その間にあるとされる土地で、具体的にいえば日本の国土一般を指すと考えられます。中津国(なかつくに)ともいいます。
アマテラスを始めとする天にまします神々のことを「天津神(あまつかみ)」というのに対し、地上に追放されて中津国において英雄になったスサノオを始め、その子孫オオクニヌシへと連なる系譜は、土着の神として「国津神(くにつかみ)」と呼び習わされます。
ここでは、代表的な国津神であるオオクニヌシとはじめとし、その神話に関係する神様をいくつか紹介します。
オオクニヌシの神話に登場する神
国津神の最重要となる神は、なんといってもオオクニヌシ。彼は後々、日本国の礎というべきものを作ります。その軌跡を辿りつつ、彼の神話に関係のある神々を見ていきましょう。
- 大穴牟遅神(オオナムチノカミ)
- 八十神(ヤソガミ)
- 刺国若比売(サシクニワカヒメ)
- 須勢理毘売(スセリビメ)
オオナムチノカミというのが、後のオオクニヌシです。スサノオの子孫とされています。
彼は因幡の国の八上姫(ヤガミヒメ)という姫君と結婚しますが、同じように彼女を慕っていた八十神という、彼の兄弟たちに殺されてしまいます。しかし母・サシクニワカヒメによって生き返らされた彼は、八十神から逃れるため、当時スサノオがいる根の国という地へ向かいます。
そこで出会ったのがスサノオの娘スセリビメ。スセリビメとオオナムジは互いに一目惚れし、結婚します。根の国を立ち去る際、スサノオに「大国主」となることを命じられ、オオナムジは中津国へ買えると国作りを始めます。
大国主の国づくりに関わる神々
オオナムジはオオクニヌシとなり、国土造成に励みます。国づくりには主に以下の神々が関わります。
- 多邇具久(タニグク)
- 久延毘古(クエビコ)
- 少彦名神(スクナヒコナ)
- 大物主大神(オオモノヌシ)
出雲の美保岬にいたオオクニヌシは、海の彼方から船に乗ってやってきた神を見出します。神に名を尋ねても答えはありません。
そこにタニグクが現れ、「クエビコなら知っている」とオオクニヌシに助言します。クエビコに尋ねると、その神の名はスクナヒコナだと答えます。スクナヒコナは別天津神であるカミムスヒの子。その後オオクニヌシは、このスクナヒコナと協力して国造りを行います。
しばらくしてスクナヒコナが去り、右往左往していたオオクニヌシのもとに、また神がやってきます。このオオモノヌシが、国造りに協力します。
中津国平定から天孫降臨へ
今や中津国は、国津神であるオオクニヌシによって納められていました。高天原の神々は、統治は天津神によって、なかんずくアマテラスの子孫によって行われるべきだとし、中津国に遣いを送ります。
葦原中国平定
オオクニヌシが中津国を天津神に譲ることを、葦原中国平定(あしはらのなかつくにへいてい)と言います。その過程で登場する神々が以下です。
- 天菩比命(アメノホヒ)
- 天若日子(アメノワカヒコ)
- 下照姫命(シタテルヒメ)
- 武御雷神(タケミカヅチ)
- 事代主神(コトシロヌシ)
- 建御名方神(タケミナカタ)
最初の2神は相次いで平定に失敗します。アメノワカヒコはシタテルヒメという国津神と結婚し、結局8年経っても高天原へ戻りませんでした。
天津神たちの相談の末、次に派遣されたのがタケミカヅチ。彼はオオクニヌシの息子、コトシロヌシとタケミナカタを説得し、父親より国譲りの承諾を受けます。
天孫降臨
中津国平定を終えた天津神は、いよいよ神の子の直系による統治が始まります。
- 天之忍穂耳命(アメノオシホミミ)
- 邇邇藝命(ニニギノミコト)
- 猿田毘古神(サルタヒコノカミ)
- 木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)
- 火照命(ホデリノミコト)
- 火須勢理命(ホスセリノミコト)
- 火遠理命(ホオリノミコト)
中津国の治めるため、まず初めに天降りを命じられたのは、アマテラスの子であるアメノオシホミミ。
しかし準備の最中にアメノオシホミミには子が生まれ、結局はアマテラスにとって孫であるニニギノミコトが天降ることになります。
国津神であるサルタヒコの案内で、ニニギノミコトは中津国に向かいました。当地で、彼は美しいコノハナサクヤヒメを妻にし、子を設けます。それがホデリノミコト、ホスセリノミコト、ホオリノミコトです。
初代天皇・神武の誕生
ニニギノミコトの三男であるホオリノミコトは、山の猟が得意で、山幸彦の名でも知られます。一方、海の漁が得意な長男は海幸彦と呼ばれます。
ある日、兄と猟具を交換し、魚釣りに出掛けた彼は、釣り針をなくしたことを契機に、海の神オオワタツミが住まう城に迎え入れられました。そこでオオワタツミの娘、トヨタマヒメと出会います。
- 豊玉姫(トヨタマヒメ)
- 鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズ)
- 玉依姫(タマヨリヒメ)
- 神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレビコ)
山幸彦はトヨタマヒメと結婚し、ウガヤフキアエズが生まれます。そのウガヤフキアエズが、母の妹であり彼の育ての親でもあるタマヨリヒメとの間に設けたのがカムヤマトイワレビコ。彼こそ、後の初代天皇・神武です。
かくして神話と歴史は接続されます。以後、天皇家は神の血統を受け継ぐものとされ、歴代天皇は第二次大戦終結まで、現人神としてこの世に君臨することになります。
まとめ
以上、日本の神様の名前を神話の登場順に沿いながら紹介しました。ここに挙げた以外にもまだまだかなりの数の神様がいます。
また、神話以後、天皇家以外であっても多くの人物が現人神と認められ、祀られています。あらゆるところに神を見出す心性は、日本人に深く根付いたもの。あなたのとってこのページが、神について思考するきっかけとなれば幸いです。