【降霊術とは】5分で分かる交霊術との違いや危険性、正しいやり方(方法)を解説
こんにちは、管理人の凛です。
日本では、古来より各地に亡くなった人からのメッセージを受け取る能力のある特別な人達が存在してきました。「イタコ」や「ユタ」がそれにあたり、目的を持って特定の霊を呼び出す「降霊術」を用いています。
それとは別に、「こっくりさん」のように非特定の霊を呼び出す遊びは一種の「交霊術」です。
今回はこの2つの違いや危険度、もし関わるとしたら、どのように関わったら良いのかをわかりやすく解説します。
降霊術と交霊術の違い
厳密に降霊術と交霊術を区別することは難しいのですが、大まかな区別をすると、下記の表のようになります。
降霊術 | 交霊術 | |
---|---|---|
目的 | 霊に質問する | 霊との交流 |
形態 | 憑依あり | 来た証を示す |
霊の種類 | 特定の死靈 | 特定しない |
実行者 | 専門家 | 感応体質の人+愛好家 |
難易度 | 高 | 中〜高 |
危険度 | 依頼者側は低い | 中〜高 |
以下で降霊術と交霊術それぞれの違いについて、詳しく解説しましょう。
目的をもって霊を呼び出す降霊術・交流目的の交霊術
降霊術の場合は、呼び出す霊も特定の霊であることがほとんどで、その霊に尋ねたいこともほとんど決まっています。
かつては年中行事の一部として、一族の祖霊に今年の運不運や家業の吉凶を尋ねることがよくあったそうですが、現在は亡くなった近い親族からのメッセージを聞きたい依頼者が大半のようです。まれに呪いや黒魔術のために名高い悪霊や悪魔を呼び出すことを要求する依頼者もいるようです。
一方、霊界とコミュニケーションを試みるために不特定の霊を呼び出すのが、交霊術。
交霊術は、正確には、「降霊した霊と交流すること」、とも言えるでしょう。
交霊会では、霊に感応する体質があり霊からのメッセージを受け取れる人と愛好家が集まって「降霊術」を行いますが、特定の霊を呼び出すとは限りません。
ケースバイケースで、たまたまその時その場の霊の波動に波長が合った霊が来るようです。
ただし、こっくりさんのように、交霊術によっては霊との感応体質の人が必要でない場合もあります。むしろ、感応体質の人がメンバーにいたために大変なことになってしまう場合もあるので注意が必要です。
霊能者に憑依現象が起こる降霊術・霊が来た証が分かる交霊術
「イタコ」や「ユタ」が「口寄せ」を行うと、死霊が彼女たちに憑依するので、声も顔つきも変わってしまいます。降霊した死霊に憑依されると、彼女たちは死霊そのものになり、依頼者が質問したことに直接答えます。また、死霊からのメッセージも伝えます。
悪魔や悪霊を召喚したり降霊する場合は、憑依されたら大変なので、降霊術を行う人はあらかじめ魔法陣などで自分を守る工夫をします。
一方、交霊術では普通、憑依は起こりません。そのかわり、霊と人間の間に入って「通訳」をする霊媒(ミディアム)を通じて、確かに霊が来たという証拠を残します。交霊会参加者全員にわかるような、明らかな証拠が目に見えたり、聞こえたり、感じたりするとのことです。
必ず専門家が行う降霊術・感応体質の人がいなくてもできる交霊術
降霊術では憑依が起きるので、精神的にも肉体的にも大変な負担を伴います。そんなわけで、ほとんどの場合自他ともにプロと認める人が行います。
プロになるには修行が必要です。「イタコ」や「ユタ」は女性に限られており、降霊術の専門家の血筋があることも多いようです。
地域によっては、そのような霊媒体質の人が多い土地柄もあります。例えば、沖縄には「ユタ」の素質を持つ女性が多いとのことですが、単に「憑依されやすい体質」だけではプロになれるわけではなく、「本物のユタになる修行が可能になるのは60歳を過ぎてから」と言われているそうです。
「イタコ」や「ユタ」は僧侶などの各宗教に存在する祭司職とは違って、普段はごく一般的に生活しているように見える人が大半です。しかし、降霊術を行う前には独特の決められた精進潔斎を行い、心身を清めます。
交霊術の場合はどのようなグループが行うかにもよりますが、特に感応体質の人がいなくてもできる術が多いです。ただし、メンバーの波動の一致が求められるため、多くの交霊術で一定の手順を踏んで心身の準備を行うようになっています。
依頼者の立場なら危険は少ない降霊術・実は危険が一杯な交霊術
イタコやユタ、その他の占い師や透視者などのプロが降霊術を行う場合は依頼者である貴方に危険はほとんどありません。
一方「霊との交流」を目的としている交霊術は、実は危険が一杯。
霊界と人間界は周波数がかなり違います。例えば、宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は地球に帰還すると、とんでもなく身体が重く、しばらくは体調の管理が必要になります。それと同じで、霊界にいる霊にとっては人間界にわざわざ呼ばれて来るのは苦痛な仕事なのです。
ですから、面白半分に「霊の存在を確かめてみたい」という目的で呼ばれたら、とても迷惑に思うことでしょう。そして、せっかく来たのに、存在を疑われるようなことを言われたり、くだらない質問をされたりしたら怒り狂ってしまうかもしれないのです。
降霊術との正しい関わり方
まず、間違っても素人が自分で降霊術を試してみようなどと思わないことです。降霊術師になりたい場合は、専門の勉強や厳しい修行が必要です。
「憑依体質」の自覚がある人は一度専門家に相談してみましょう。素質があるなら専門家になるための修行を勧められるかもしれません。そうでなければ、低級霊に憑依されないためのアドバイスをもらいましょう。
降霊術を依頼する頻度やタイミングに気をつける
どうしても亡くなった親族やペットに聞きたいことがある場合は、亡くなってから最低100日、できれば1周忌や3回忌などのタイミングで降ろしてもらうのが良いと言われています。亡くなってから日が浅いと、霊の状態が不安定で、降ろすことが難しいのだそうです。
また、頻度も多くても年に1回程度にとどめましょう。聞きたいこと、聞きたい思いが熟してから降ろしてもらうのが霊に対する礼儀です。
なお、プロと言っても実力はピンからキリまであります。お金を払うならできるだけ腕のいい人を選んで見てもらいましょう。あまりにもいい加減な人だと、低級霊しか降ろせずに聞きたいことが聞けない場合もあります。
降霊の前後は身を清める
降霊術を依頼する人も、霊に対する礼儀として、降霊の前後は身を清めましょう。沐浴する、塩を肩に振りかけるなどの方法でかまいません。
また、降霊の際には故人が好きだったものをお供物として持参するなどの気持ちがあると良いですね。
【実例】イタコに母親の霊を口寄せしてもらったジャーナリスト
テレビ番組などで、亡くなった人の霊を降霊するような霊能者を放送することもありますが、多くの人は半信半疑、ひとつのエンターテイメントとして見ているでしょう。
ですが、とあるジャーナリストが自分の亡くなった母親の「口寄せ」をしてもらったという記事を公開していましたので、簡単にご紹介します。
彼は、もともと僧侶で、新聞社で働いた後フリーになったジャーナリスト。何冊か著作もあります。
彼が口寄せを頼んだイタコは、一見普通の中年の女性だったそうです。
祭壇のある奥座敷に通されると、白い法被を着て、魔除けための独特の数珠(ムクロジという木で造られていて、両端に熊の爪・狼の骨・小動物の頭骨・古銭がついている)を持ったイタコ姿で現れ、口寄せを始めたそうです。
降霊の手順はおよそ次のようなものだったそう。
- 般若心経などの他、仏教用語を交えた「仏降ろし」と言われるイタコに伝授されてきた呪文を唱える(太鼓を叩いたり弓の絃を弾いて音を出すこともあり)
- 和讃(日本語に翻訳したお経で、歌のように節を付ける)を唱えながら憑依状態に入る(この時点で、声の調子が明らかに変化する)
- 依頼者に死者の霊として語りかける。質問も受ける
- 質問が終わると死者の霊が帰り、イタコは元のように戻る
イタコに「降霊術のときの感じ」について尋ねたところ、呪文が終わって歌に入ると次第に無の境地になり、霊が背中を這い登ってくるような感じ、終わるとどっと疲れるとのこと。
ただし、この感覚は人(イタコ)によって違うそうです。
なお、「口寄せ」の内容は一般的で抽象的なところもあったけれど、イタコには話していない「自分と亡き母しか知らないこと」もいくつか口寄せされたということなので、信頼が置けるかもしれませんね。
昭和中頃までは「口寄せ」が身近にあった
降霊術の一種として亡くなった人の「口寄せ」をしてもらったという人の話は、昭和の中頃まではたまに身近で聞くこともあったようです。まだ、戦争に行った肉親の生死がわからない人が多かったからでしょう。皆さんも、自分のおじいさんやおばあさんに伺ってみると、降霊術の実例を実際に教えてくれるかもしれませんね。
交霊術・交霊会との正しい関わり方
降霊術が特定の目的を持って行われるのに対して、交霊術と交霊会は霊の存在を感じることや、霊の方から告げられるメッセージを受け取りたいという趣旨が主な目的です。
基本、交霊術で集まるのは、寂しい思いをしている浮遊霊やアクシデントを起こすのが大好きな低級霊ばかり。気力体力が充実していれば、交霊術が終わった後も疲労感程度で済みますが、弱っているときは思わぬトラブルにあってしまうことがあるため、安易な気持ちで参加することは避けたほうがいいでしょう。
文字盤を使った交霊会では注意事項を厳守!
定期的に流行する「こっくりさん」や数年前に世界的に大流行した「ウィジャボード」も交霊会の一種。
これらは霊媒を必要としません。数人が一緒にコインやプランシェットに手指を添えるだけです。そのゲーム感覚でできる簡便さに、つい興味本位に参加してしまったことがあるのではないでしょうか?
しかし、これらを夢中になってやりすぎるのは危険。特に、
- 神社や墓地の近く、仏壇や神棚のある部屋では行わない
- 午後3時以降は翌日の日の出まで行わない
- 骨董市やリサイクルなどでこれらの文字盤の類を購入するのは避ける
といった注意事項は絶対に守りましょう。
思わぬ悪霊が降りてきて取り憑かれてしまう可能性もゼロではありません。
交霊術を取り入れたイベントで異常な疲労感を感じたら除霊を
イベントの一種として、著名な霊能者や宗教家が大勢の人を集めて「霊言」や歴史上、あるいは霊界で著名な人物・霊からのメッセージを伝える会などが開催されることもあります。
これらに講演会のような気分で参加したことのある人もいるのではないでしょうか。
あるいは人気スターのライブ会場で、異常な盛り上がりで失神者が出るような場合も期せずして交霊会になっている場合もあります。
これらの大きなイベントなどから帰ったときに、異常な疲労感を感じる場合は是非除霊をしましょう。塩を肩や足元に振りかける、ラベンダーなどのアロマスプレーを部屋に噴霧する、お香を炊くのも良い方法です。
あまりにも体調が悪いなら、専門家に鑑定してもらいましょう。
【実例】交霊会ブームだった19世紀
交霊会は19世紀に爆発的なブームが起こり、心霊現象の真偽を巡って科学的な研究も盛んになりました。
19世紀の交霊会では、霊と人間の間に入って「通訳」をする霊媒(ミディアム)が必要でした。ミディアムは霊に憑依されることなく、自我を持ち続けながら霊と交信する能力を持っているとされる人です。
言葉そのものを通訳する場合と、ミディアムの言葉に対して霊が物理的な現象を通して回答する場合もあります。例えば、ラップ音や自動筆記、文字盤を使った回答です。
そんな19世紀の交霊会では、霊が来た証拠として、
- 人間や動物のような形になって姿を表わした
- 出現した霊体がお菓子を食べた
といった記録がいくつか残っています。
出現した霊体については「エクトプラズム」という謎の物質の存在として説明されています。霊が霊媒を通して物質界に働きかけるときに霊媒からエクトプラズムが排出され、それが心霊現象を起こすという説です。エクトプラズムは変化自在で、あらゆる物に姿を変えることが可能で、動き回ることさえできるということです。
文豪ヴィクトル・ユゴーも交霊会に傾倒していた
『レ・ミゼラブルヴィク』で有名な、フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーは、
政治的な理由で十数年間フランスを追放された時期がありました。その亡命先のジャージー島で2年間の間、ユゴーは連日のように交霊会に傾倒していたとのことです。
ことの始まりは、亡き愛娘の亡霊が現れたこと。それからユゴーは家族や親しい友人たちと交霊会を持つようになりました。私的なノート『降霊術の記録』には、娘の霊ばかりではなく、歴史上の人物、シェイクスピアや、プラトン、ソクラテスまで呼び出して交流していた記録が記されているそうです。
「降霊術」と言ってはいますが、憑依現象はなく、文字盤やラップ音によって霊の言葉が伝えられていたようなので、あきらかにこれは「交霊会」と言えるでしょう。
しかし、2年後に交霊会仲間の1人が狂死してしまい、それ以来ユゴーは2度と交霊会について話さなくなったそうです。
まとめ
「こっくりさん」や「キューピットさん」は誰でも子どもの頃に見聞きしたことがあるでしょう。
私は実際に行ったこともありますが、実は後味が悪く、あまり楽しかったという思い出はありません。大人たちが嫌な顔をしたのは昔からの知恵で、危険な遊びだと知っていたからなのでしょう。
霊は本来、人間の遊びに付き合うような存在ではありません。それでももし関わりたいというのなら、敬意を持って正しい方法で関わりましょう。