【天赦日とは?】10分で分かる!不成就日と重なる関係や意味を分かり易く解説!
こんにちは、管理人の凛です。
天赦日(てんしゃにち・てんしゃび)は、何をするにもラッキーな大吉日として知られています。しかも1年に数回しか巡って来ません。
一方、何をしても上手くいかない大凶日とされるのが不成就日(ふじょうじゅにち・ふじょうじゅび)です。こちらは毎月3〜4日あります。
実は、この相反する2つの日が重なってしまう日が稀にあります。
そこで、「せっかくの天赦日が不成就日と重なるのはなぜですか?」というご質問にお答えして、今回の記事を書く事にしました。是非参考にしてくださいね。
天赦日と不成就日が重なるのは占いの方法が違うから
「今日はお日柄もよく」という言葉を結婚式やおめでたい席で聞くことがありますね。
この「(お)日柄」は、暦の上での吉凶を示しています。よく知られているのは「大安」や「仏滅」などの六曜です。この六曜をはじめ、日本には昔から「日柄」を占う様々な占いの方法がありました。
カレンダーに載っている「大安」や「仏滅」などの毎日の占い情報を「暦注」と言います。
昔の暦は冊子になっていて、毎日の情報が注としてたくさん書かれていました。これが暦注の由来です。
昔の暦(カレンダー)では、暦注が上・中・下の段に分けて書かれていました。
- 上段:天文学的根拠を持つその日の情報(日付、二十四節気、七十二候など)
- 中段:十二直などの古くからある一般的な占いに関する情報
- 下段:根拠は明らかでないものの、庶民に愛されていた占いの情報
天赦日や不成就日は下段に書かれていたそうです。昔から多くの人々に親しまれていたんだと分かりますよね。
天赦日は二十四節気(にじゅうしせっき)から算出される
天赦日は、二十四節気による春夏秋冬の四季のそれぞれに割り当てられた縁起の良い十干十二支の組み合わせの日です。節切りという節月を1ヵ月とする暦の見方により算出されます。
例えば、春の天赦日は立春から始まる正月節の戊寅(つちのえとら)の日に当たります。
季節 | 二十四節気 | 節月 | 天赦日 |
---|---|---|---|
春 | 立春〜 | 正月節 | 戊寅(つちのえとら) |
夏 | 立夏〜 | 4月節 | 甲午(きのえうま) |
秋 | 立秋〜 | 7月節 | 戊申(つちのえさる) |
冬 | 立冬〜 | 10月節 | 甲子(きのえね) |
二十四節気は、春分点を起点として太陽の動き(黄道)を黄道0度から15度ずつ24等分した区分点を太陽が通過する日を基準として節気と言います。
このように、天赦日は太陽の動きを元にした二十四節気の「節切り」という暦の見方で接算出されています。
天赦日は大吉日
天赦日は七箇の善日(ななこのぜんにち)のひとつで、「百神が天に昇り、天が万物の罪を赦す日」という意味があります。そのため、最上の吉日とされています。
【今後3年間の天赦日】
2019年 | 1/27、2/10、4/11、6/26、9/8、11/23 |
---|---|
2020年 | 1/22、2/5、4/5、6/20、9/2、11/1、11/17 |
2021年 | 1/16、3/31、6/15、8/28、10/27、11/12 |
不成就日は月と日の組み合わせで算出する
一方、不成就日は数の組み合わせで算出するので、8日ごとに巡ってくる計算になります。
旧暦月 | 旧暦日 不成就日 |
---|---|
1月、7月 | 3、11、19、27 |
2月、8月 | 2、10、18、26 |
3月、9月 | 1、9、7、25 |
4月、10月 | 4、12、20、28 |
5月、11月 | 5、13、21、29 |
6月、12月 | 6、14、22、30 |
不成就日は旧暦の月を基準に算出する「月切り」という方法が使われています。
旧暦の月は、新月から満月までの期間を1ヵ月とします。不成就日は月のカレンダー上の考え方と言えます。
不成就日は何事も上手くいかない日なので、新しいことは始めずに、家で静かにしていたほうが良い日とされています。
江戸時代の庶民の休日はお彼岸とお盆だけでしたから、不成就日が休日代わりに機能していたのではないかという説もあります。
天赦日と不成就日が重なるのは仕方がないこと
このように、天赦日と不成就日は、別々のカレンダーで算出されている占い方法の結果です。そのため、大吉日と大凶日が同じ日になってしまうことがあるのです。
さて、気になる天赦日が不成就日と重なる日は以下の日です。
2020年、2021年は天赦日が不成就日は重ならないようですね。結婚や起業など、新しい出発にふさわしい年回りかもしれません。
2019年 | 1/27 9/8 |
---|---|
2020年 | 重なる日なし |
2021年 | 重なる日なし |
天赦日が不成就日と重なる場合は大きな挑戦を避けたほうが無難
天赦日が不成就日と重なる場合はどちらを優先したら良いかというご相談をよくいただきます。
これには諸説あります。もともと違う考え方で占った結果なので、自分の気分の良い方を優先すれば良いと思いますが、天赦日の効果が半分になるという説に頷く人も多いようです。
どうしても気になる場合は、大きなチャレンジや人生の一大イベントである結婚式は避けたほうが無難かもしれません。
不成就日以外にも仏滅その他、凶日として気にする方が多い日もあります。それらが天赦日と重なった場合にも自分や周囲の人の気持ちを考えて日取りを考えたいものです。
暦の歴史と日々の占い
天赦日と不成就日が重なる理由やその場合の対処の仕方はお分かりいただけたかと思いますが、それにしても、十干十二支の組み合わせや旧暦の日にちはピンとこない人が大半でしょう。
現在のカレンダーが日本に導入されたのは明治から
現在使用されている暦は、西暦と一般的に言われるグレゴリオ暦という暦法で、1年の平均日数を365.2425日とする太陽暦です。グレゴリオ暦が日本で採用されたのは明治5年の年末です。
グレゴリオ暦を導入した経緯は、外交上の都合や財政的な事情があったようですが、「旧暦に基づいた様々な暦法が多すぎて、庶民の生活が迷信に左右されているのは文明的でない」というのが表向きの理由でした。
旧暦とは、それまで使われていた日本独自の暦を「旧暦」と一括りに言う場合もありますが、一般的に明治5年まで使われていた「天保暦」を指します。
天保暦は徳川幕府が定めた暦法で、月の満ち欠けを基準とした太陰暦、季節に合致する二十四節気を併用した太陰太陽暦と呼ばれるものです。
太陰太陽暦は占いと関係が深かった
太陰太陽暦は6世紀に仏教と一緒に日本に伝わり、暦は朝廷の陰陽寮という天文や占いを司る部門が作成することになりました。
当時から暦と占いの関係は深く、占いによって天下国家が覆されてしまう恐れがあったため、明治の改暦まで朝廷や幕府が監督するものとされていました。
そのため、正確な暦は一部の知識人しか理解できないようにすべて漢字で書かれていたのです。
いろいろな地方暦ができた江戸時代
江戸時代には平仮名や絵で表された仮名暦や絵暦が庶民に普及するようになりました。そのため、暦の需要が増え、各地の有力な神社が関わる地方暦の普及が進みました。
暦は幕府の天文方という部門が作成管理していて、幕府の許可が下りた場合以外は勝手に発行できず、勝手な暦注を付け足してはいけない決まりになっていました。
しかし、日本全国で統一された同じ暦が発行されていたわけではありません。
現存する数々の地方暦を見ると、それぞれのお国柄や土地の風俗が入ったものが多数あります。吉凶の占いの解釈も、貴族の生活とは違う庶民の生活レベルに合わせて多様になったと思われます。
地方暦が普及することで、江戸時代に大流行した毎日の占いが「暦注下段」です。
暦注下段には多くの種類があり、その根拠となる占いの方法があったはずですが、今は意味もよくわからなくなったものも数多くあります。
しかしながら、明治政府はこの暦注下段を改暦によって禁止されてしまいました。
実は、この暦注下段に当たる暦の占いは歴史上何回もその当時の国家政府から禁止されていました。明治の改暦以降も「おばけ暦」というものが作られ、庶民の間で密かに使用し続けられていたとのことです。
暦注下段のさまざまな吉凶日
暦注下段のさまざまな吉凶日の特徴は、「〇〇するには吉」「△△するには凶」と目的別に細かく決められていることです。すべて吉、全て凶というのは天赦日と不成就日くらいかもしれません。
今もよく聞く暦注
最近よく聞く暦注下段には、天赦日と不成就日の他に一粒万倍日があります。
「一粒万倍日」は、物事を始めることに良い日です。開店、種まきなどに大吉。宝くじ売り場で宣伝しているのも、一枚の宝くじ件が当選して何倍にも増える縁起をかついでいるのです。
ただ、借金は何倍にも増えてしまうので凶。他の吉日と重なると効果が倍増するとされているので、大安や、天赦日と重なると喜ばれます。
以下にたまに耳にする暦注下段の吉凶日をまとめてみました。
七箇の膳日
吉凶日 | 読み方 | 特徴 |
---|---|---|
天赦日 | てんしゃにち | 万事に吉 婚儀・開業大吉 |
神吉日 | かみよしにち | 吉 祖先の祀り神事 |
大明日 | だいみょうにち | 吉 婚儀・旅行・建築 |
鬼宿日 | きしゅくにち | 吉 婚儀以外 婚儀は凶 |
天恩日 | てんおんにち | 吉 5日間続く 慶事 凶事には凶 |
母倉日 | ぼそうにち | 吉 婚儀全般・建築・開業 |
月徳日 | つきとくにち | 吉 建築・土木工事大吉 |
三箇の悪日
三箇の悪日は生まれた年の干支により凶日が決まる。1年のうち決められた月の3日間が三箇の悪日となる
吉凶日 | 読み方 | 特徴 |
---|---|---|
大禍日 | たいかにち | 最も凶 口舌・家の修理・船旅・葬儀 |
狼籍日 | ろうしゃくにち | 万事凶 特に仏事 |
滅門日 | めつもんにち | 慎まずに過ごすと一家門が滅びる 万事凶 新規のことは避ける |
その他の吉凶日
吉凶日 | 読み方 | 特徴 |
---|---|---|
受死日=黒日 | じゅしにち・くろび | 凶 葬儀以外慎む 病気見舞い健康管理他、万事凶 |
十死日 | じゅうしにち | 凶 婚礼をはじめ全て凶 |
五墓日 | ごむび | 生まれた日が丑・辰・未・戌の人にのみ凶 土を動かすこと 葬儀・墓作り・種まき 家造りのみ支障なし |
帰忌日 | きこにち | 凶 旅行帰り・里帰り・お金の貸し借り |
血忌日 | ちこにち | 凶 鍼灸・狩猟・刑罰 |
重日 | じゅうにち | 凶事全般・婚礼の凶 金銭関係吉 |
復日 | ふくび | 凶事全般・婚礼の凶 金銭関係吉 |
天火日 | てんかび | 凶 火災に注意 |
地火日 | ぢかにち | 凶 地面に関すること・定礎・墓づくり |
時下食 | ときげじき | 特定の日の特定の時刻 種まき・沐浴・草木を植えること |
歳下食 | さいげじき | 凶 食あたり |
凶会日 | くえにち | 凶 慶事全般 |
往亡日 | おうもにち | 凶 遠出・嫁入・出向くこと全般 |
暦注下段は吉の日を中心に見よう
表を見てお分かりになると思いますが、暦注下段の撰日は「〇〇には凶」「△△は避けたほうが良い」というものが多いですね。
これらを全部守るのは難しい話なので、各時代の政府が何度も暦注を禁止したのは、暦注に従って生活していたら日常生活に支障をきたしてしまうからではないでしょうか。
しかし、「凶の日には〇〇を慎む」ではなく、「〇〇するには吉の日」を上手に使うなら、その暦注の根拠はともかく、気分良く前向きに一日を使えるのではないでしょうか。
暦注を自分なりに使う2つの方法
天赦日に宝くじを買っても全員が当選するわけではありません。それは、個人個人の今の運気が関わっているからで、運気の良い人とそうでない人では、同じ天赦日でも一日の運気はかなりちがうのです。
暦注と卜占を使って判断する
さて、暦注は「○月○日」というその日自体を占ったものです。暦注は天文や数によって算定されたその日の命占と言えます。個人を誕生日から西洋占星術や四柱推命などで占うのと同様です。
暦注を自分らしく活かすには、貴方自身の今の運気を卜占で占った上で暦注を参考にするのが正しい方法だと思います。
今の運気を見る卜占として代表的なのはタロット。
例えば、天赦日に何かを始めてみたい場合、何を始めるのが自分にぴったりなのかタロットで占うこともできます。
【実例1】天赦日に「女教皇」のカードを引いた場合
タロットは1枚引きで正逆位置は問いません。
女教皇は、精神的な学びを暗示する場合が多いので、手軽な方法としては、新しい本を購入して読み始めるのに最適かもしれません。その本がきっかけで、貴方の今後の人生が良い方に変化する可能性があるでしょう。
また、いくら不成就日でも、現代人は仕事に行かなければなりません。今日は何に気をつけたらいいかも占うことができます。
【実例2】不成就日に「皇帝」のカードを引いた場合
タロットは1枚引きで正逆位置は問いません。
皇帝はこの世の権威と力を表しますが、不成就日に皇帝のカードを引いた場合は、上司や先輩には礼儀正しく応対したほうが良いかもしれません。
頭に血がのぼるほど腹が立つこともあるかもしれませんし、ひょっとしたら頭をぶつけて怪我をするかも。
こんな風にその日の注意点がわかりますよ。
陰陽五行を利用して判断する
陰陽五行による自分の木・火・土・金・水のタイプが分かっていれば、その日の
暦の日付の五行との関係性から暦注をどう活用したら良いか判断できるでしょう。
暦注が分かる暦には旧暦も併せて記載されていることが多いので、暦の日付は旧暦の日付を参考にします。
【実例】
2019年6月26日の天赦日にそれぞれの五行のタイプの人のラッキー度を見ます。自分がどのタイプかは、生年月日からネットで簡単に調べられますよ。
2019年6月26日は、旧暦で5月24日の夏の天赦日なので「甲午(きのえうま)」です。「甲」は五行では「木」です。十二支の午は「火」にあたります。
- 木と火タイプの人:天赦日も「木」と「火」なので、天赦日を有効に活かせそうです。結婚式や起業の日など、人生のビッグイベントを計画するならこの日が最良です。
- 土タイプの人:天赦日の「火」とは相生で、土タイプの人にメリットが多い関係になっています。
しかし、「木」とは相克。天赦日の良さは半分とは言いませんが、7割くらいに考えるとちょうど良いかも。小さなチャンレンジや気軽なイベントに最適かもしれません。 - 金タイプの人:天赦日の「木」と「火」の両方と相克です。悪い日ではありませんが、あまり期待しすぎるとがっかりします。ついていることがあったらラッキー、と思う程度で。
- 水タイプの人:天赦日の「木」とは相生ですが、水は木を育てる立場なので、相性の良さを活かせる可能性は100%とは言い難いです。
天赦日の「火」とは相克です。天赦日の良さは半分の実感でしょう。自分から何かを始めるよりも、お呼ばれで出かけるパーティやイベントで楽しめるでしょう。
まとめ
天赦日は何でも叶うラッキーデーと言われますが、各々の運気によってどんな日になるか変化します。
天赦日が不成就日と重なる場合も、細かく鑑定すれば最適な方法が見つかるはずです。しかし、結婚式など、多くの人が関わる重要なイベント以外は、毎日の六曜を始めとした暦注について気軽に考えても良いかもしれません。
暦注は昔の人の生活の知恵の宝庫なので、暦注を知るのは勉強になります。「迷信だから…」と切り捨てるのはもったいないです。
暦注を自分らしく利用して、毎日の生活にメリハリをつける目安にできたらいいですね。