【祝詞(のりと)とは?】祝詞が齎す強力なお祓い・浄化効果や本当の意味を紹介!
こんにちは、管理人の凛です。
皆さんは、神社へ参拝する時にどのように神様にご挨拶をしていますか?
お賽銭箱にお金を入れて、鈴を鳴らして、「二拝二拍手一拝」。お願い事を声に出して言う事もあるでしょう。
神主さんにお祓いをしてもらう事もありますね。その時に神主さんが唱えているものを、「祝詞(のりと)」と言います。祝詞とは、神社などでの祭儀の時に、神職が神様に対して申し上げる言葉。この祝詞には、強力なお祓い・浄化効果があると言われています。
祝詞の持つ強力なパワーの秘密は「言霊」
祝詞は、文言が決まっているものもありますが、基本的に祭儀のたびに神職が作文するものです。作文の手本になる祝詞は大体決まっていますが、古くは平安時代にまとめられた『延喜式』の第8巻などにまとめられている28篇があります。
言葉には言葉そのものに命が宿る
祝詞には、現在でも大和言葉が用いられ、独特の節回しで唱えられます。
祝詞の原点は「言葉には言葉そのものに命が宿り、力を持つ」という「言霊思想」。これは、「言葉」が声としてパワーを帯びた波動エネルギーとなり、現実を変える力になるという考え方です。
ですから、祝詞の言葉を間違える事は許されません。そのため、ゆっくり、独特の読み方で朗唱されるのです。
日本人の習慣に染み込んでいる「言霊思想」
経験的な知恵から、昔から「忌み言葉」としておめでたい時に言ってはいけない言葉があります。結婚式の時に「別れる」「割れる」「終わる」などの言葉は言ってはいけない事をご存知でしょう。受験生に「落ちる」「滑る」などと言わない配慮も「言霊思想」の影響ですね。
このように、言葉の持つ不思議なパワーを信じている日本人にとって、祝詞は特別な効果をもたらします。
オーソドックスな祝詞は祓い清めを願う「身禊大祓」
文言が決まっている祝詞としては、お経で言う般若心経にあたる「身禊大祓(みそぎのおおはらい)」が挙げられます。これは、アメノコヤネノミコトという神様が作った祝詞で、心身の祓い清めを目的としたもの。以下が祝詞の全文と訳文です。
「身禊大祓(みそぎのおおはらい)」全文
高天原に 神留ります 神魯岐 神魯美の命以ちて
皇御祖神 伊邪那伎大神
筑紫の 日向の 橘の 小戸の 阿波岐原に
禊祓え給しい時に 生れませる 祓戸の大神達
諸々の禍事 罪穢を
祓い給え 清め給えと 申す事の由を
天津神・国津神・八百万の神等共に 聞こし食せと
恐み恐み申す
「身禊大祓(みそぎのおおはらい)」全訳
高天原にいらっしゃったカムロギの神とカムロミの神のご命令で
皇族の祖先の神となったイザナギノオオカミが
筑紫の国の日向の橘の小戸の 阿波岐原という海辺で
穢をお祓いされた時にお生まれになった祓いを司る神々方
諸々の災難、罪、不浄を
祓って下さい 清めて下さいとお願いすることを
天と地との八百万の神々もともに聞き届けて下さいますように
恐れながらよろしくお願い申し上げます (管理人訳)
以上の祝詞について、もう少し詳しく解説しましょう。
古事記や日本書紀によると、日本の国を造ったイザナギノミコトとイザナミノミコトは様々な神々を生みましたが、火の神を生んだ時に、イザナミノミコトは死んでしまいます。
悲しみに暮れたイザナギノミコトは黄泉(よみ)の国(死者の国)にイザナミノミコトを探しに行きます。ようやく会えたものの、彼女は蛆が湧き腐り果てた姿でした。恐ろしくなったイザナギノミコトは現世に逃げ帰り、筑紫国の阿波岐原(アワギハラ)という海岸で禊(みそぎ)を行い、穢れを落とします。
その時に生まれたのが「祓いの大神」と言われる、以下の4柱の神々です。
- 瀬織津比売(セオリツヒメ)
- 速開都比売(ハヤアキツヒメ)
- 気吹戸主(イブキドヌシ)
- 速佐須良比売(ハヤサスラヒメ)
この神々は、禍事、罪、穢を祓って下さると言われています。
神道の一番オーソドックスな祝詞の内容は「禍事、罪、穢を祓って下さい」というお願いなのです。
身禊大祓は年に2回の重要神事「大祓」で唱えられる
上記でご紹介した大祓詞(身禊大祓)は、年に2回行われる神道の重要神事「大祓(おおはらえ・おおはらい)」で唱えられる祝詞。
大祓は最も古くから大掛かりに行われている神事で、6月には「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」が、12月には「年越しの大祓」が行われます。この大祓で、それまでに穢れてしまった心身のよごれを祓い清めて浄化する事ができるのです。
大祓では、まず、人形(ひとがた・人の形に切った白い紙)などで自分の身体全体をなでて、半年間の穢れを人形に移します。それを集めて神主さんが大祓詞(身禊大祓)を唱えて穢れを祓い清めます。
夏越しの祓では、大祓詞(身禊大祓)を唱えてから、神主さんが先頭になり無病息災を祈って神前の茅や藁を束ねた茅の輪(ちのわ)を三回くぐります。その時「水無月の夏越の祓する人は千歳の命のぶというなり」と唱えます。
夏は疫病が流行りやすく、昔の人は夏を越す前のこの季節を大切にしていました。茅の輪については、スサノオノミコトが、貧しい農民に「茅の輪を腰につけていることで疫病から免れる」と教えた伝説によるものと言われています。この事からも、「お祓いと浄化」は神道の得意分野と言えますね。
自分でも祝詞を唱えてみよう
すでにご説明したように、身禊大祓は般若心経のようなものですから、暗記して参拝の時に唱える事も可能です。とはいえ、「それはちょっと難しい…」と思う人も多いでしょう。そんな方には、比較的手軽に唱えられる、以下のような略式の祝詞もあります。
「祓え給い、清め給え、神(かむ)ながら守り給い、幸(さきわ)え給え」
(お祓い下さい、お清め下さい、神様のお力により、お守り下さい、幸せにして下さい)
自分の家に神棚をお祀りすると、その効果をより高められます。
神社で祝詞を唱える時は、他の参拝者の迷惑にならないように、賽銭箱の真ん前で長時間唱えたり、立入禁止箇所や内陣に入ったりしないよう注意しましょう。
まとめ
以上、祝詞が齎す強力なお祓い・浄化効果などをご紹介しました。
日本の神道は、もともとお祓いや浄化を得意分野としています。日本の自然や四季に馴染んだ神道の諸行事や神話にもっと親しみ、理解を深めたいですね。罪や穢を定期的に祓って、心機一転できるのも神道のありがたいところ。
また、神社の境内は心が静まり、精神的なデトックス効果も抜群です。略式の祝詞を覚えたら、神社への参拝を習慣化してみてはいかがでしょうか。